お知らせ・新着情報
全国民間保育園経営研究懇話会では、下記のように緊急声明を発表しました。
〈緊急声明〉
保育施設における虐待・権利侵害の防止に関する声明
報道によると静岡県の保育施設において、園児に対する虐待事案が確認されました。保育所は就学前の子どもたちにとって安心・安全な場であり、健やかな育ちを保障する、地域になくてはならない施設です。先には通園バスに置き去りされた園児の死亡事故が発生、今回、不適切な保育や虐待が行なわれていたことは、誠に遺憾であり、強い衝撃を受けています。詳細が明らかになるにつれて、施設が虐待の事実を隠ぺいし、自治体は事実を把握しながら県との特別監査を大幅に遅れて実施するなど、対応の遅れは保護者をはじめ保育関係者はもちろん、多くの人々の保育行政に対する不信を招いています。
安心して子どもを預けられるはずの保育施設で、絶対にあってはならないことです。同様の事案は全国で相次いでおり、実態の徹底した解明と、再発防止対策を急ぐ必要があります。私たちには、同様な事故、事案を未然に防ぐために、早期発見の仕組みを整えることが求められています。さらに保育に関わる全ての職員や施設管理者の意識改革、内部通報などの仕組みを整備し、十分な研修体制、余裕ある保育体制、市町村や都道府県との連携強化などが必要です。
また、多くの保育関係者の中から、保育者が委縮して本来の保育ができなくなるのではないかという危惧が生まれています。
今回の事案は到底許されるものではありません。虐待容疑の保育士や施設管理者の責任は重大です。同時に、なぜこのようなことが起ったのか、事案の背景についても検証する必要があります。現在の保育現場は多様な保育ニーズに応える高い専門性を求められる中、限られた人員でゆとりある体制が保障されていない現実があります。4、5歳児では一人の保育士が30人の園児をみなければならないなど、諸外国と比べても最低レベルの人員配置基準となっています。保護者との意思疎通を図り、職員間で連携して情報共有し、支援し合うことが難しくなっています。ゆとりのない保育施設では、どこでも今回のような事案の起きるリスクを抱えているといえます。
私たちは、この機会に憲法・子どもの権利条約・児童憲章・児童福祉法などを土台として、子どもたちの人権を守り、最善の利益を保障する保育の基本を確認し、日々の保育をあらためて点検します。そして、すべての保育関係者とともに保育の諸条件を充実させるために全力を傾けてまいります。
2023年1月9日
全国民間保育園経営研究懇話会
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