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2020.12.07
2021年度予算の概算要求について~保育関係予算~

2021年の保育関係予算(概算要求)を駆け足で解説します。予算要求額を明示せず項目だけを載せた事項要求も少なくありませんが、予算の傾向をつかむことに支障はないものと思われます。詳しくは下記のサイトをご覧ください。
(12月7日公開後、12月24日に修正したか所に☆印をつけました。ご了承下さい)
https://www.mhlw.go.jp/content/000677014.pdf
https://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/r03/gaiyou_r03.pdf ☆

ところで、保育関係予算の多くが厚労省の所管だと思いがちですが、実はその9割以上が内閣府の予算です。「子どものための教育・保育給付費等」が内閣府の所管になっているのが大きな理由です。児童福祉法(24条1項)を所管する厚労省の予算が内閣府の1割にも満たないわけですから、保育政策に関する国の立ち位置が透けて見えてきます。
厚労省 1,063億円+事項要求
内閣府 1兆8,656億円+事項要求

2021年度の保育関係の予算概算要求をみると、「少子化対策(子ども・子育て支援新制度の着実な実施/内閣府)」予算(児童手当を含む)は事項要求がついているものの、2020年予算と同額です。
2020年 31,917.7億円
2021年 31,917.7億円+事項要求

待機児対策の柱となる「保育の受け皿整備/厚労省」の予算も前年と変わりません。2020年度と同じ予算の受け皿整備で待機児解消が進むとは思えません。これでどうやって保育を受ける権利を保障することができるのでしょうか。国の本気度が問われます。
2020年 767億円(うち、保育所等整備交付金638億円)
2021年 767億円(うち、保育所等整備交付金638億円)

 子どもの処遇や保育者の処遇に直結する「子どものための教育・保育給付等」予算もゼロベースです。私たちが求めている職員配置基準の改善や保育者賃金の大幅改善は、2021年度予算には盛り込まれていません。これでは保育士の保育所離れに歯止めがかかりません。子どもに豊かな保育を行う条件も改善されません。
2020年 16,383億円      
2021年 16,383億円+事項要求 

保育関係の2021度予算の特徴は、前年と変わらない“ゼロベース”です。予算の増額をしないで、保育分野に山積した重要課題の解決はできません。運動課題は明確です。私たちは、予算から見えてくる国の姿勢を抜本的に転換させるために、具体的で実効的な提案を行ってかなければなりません。

◆具体的な項目について

ここからは具体的な項目を見ていくことにしましょう。新型コロナウイルスへの対策も予算化されているので、確認してください。

① コロナ関連
昨年度に引き続き、マスク、消毒液等、感染防止備品購入、研修、かかり増し経費として1施設 50万円が組まれています。
② 宿舎借り上げ支援事業
月82,000円を上限として組まれていますが、ここでは「対象となるものとならないものとの公平性を鑑み段階的見直しを図るとして10年から9年にする」となっています。政府は、事業そのものを徐々になくしていこうとしています。本来は、保育士の人材不足から始まった事業なので、保育士全員が対象の家賃補助を行い、処遇の改善につなげるべきだと考えます。
③ 保育所等整備交付金 638億円 
対象事業 保育所、認定こども園、小規模保育、防音壁施備、防犯対策強化
保育所等改修費等支援事業 394億円
対象事業 賃貸物件による保育所等改修、小規模改修、幼稚園における長時間預かり保育改修、認可化移行改修、家庭的保育改修
 いずれも前年度と同じ水準になっています。「ポストの数ほど保育所を」と運動が展開され、そのもとで保育所が建設され50年を超えてきました。その後建てられた民間の保育園も多くの施設で建て替えや整備が必要になっています。もっと大幅な予算が必要です。
④ 保育所におけるICT化推進等事業
ITC導入により、計画、記録、登降管理、通訳・翻訳の業務が軽減されるため、1施設100万円 翻訳機150万円の補助が組まれています。必要なら来年度自治体に問合せましょう。
⑤ 保育士不足解消のため
保育士・保育所支援センター 運営費720万円 コーディネーター400万円 等
保育事業者コンサルタント、保育士支援アドバイザー 自治体 約406万円
 働き方改革支援コンサルタント、保育実践コーディネーター 自治体 約406万円