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2018.02.14
第38回経営研究セミナー 32都道府県413名が参加

1月8~10日に開催した第38回経営研究セミナーには、32都道府県から413名の参加がありました。参加された皆さん、ありがとうございました。

◆シンポジウム「今こそ、すべての子どもが輝く保育の確立を~保育指針「改定」を超えて、私たちが大切にしたいこと」

1日目シンポジウムは、シンポジストに世取山洋介さん(新潟大学)と安積力也さん(基督教独立学園高等学校前校長)、コーディネーターは大宮勇雄さん(福島大学・全国保育団体連絡会会長)でした。

世取山さんには、子どもの権利条約の観点から、保育の現状と課題についてお話しいただきました。
 子どもの権利条約は、“子どもの権利の本質は子どもの主体性にあり、子どもは言葉によるコミュニケーションが成立する以前から、様々な方法で自分の意志を伝えようとしている”、と乳幼児期の子どもの権利を明確に位置付けています。しかし、意志の疎通が実現するためには、大人の仲介が不可欠です。子どもの権利保障には、大人の地位が重要なカギを握っているとも言えます。そして、専門的ケア提供者の十分な人員配置や専門的資質向上のための研修保障、社会的な地位の確保や適切な給与の支払いが必要であることにも言及しているのです。

国連は、こうした観点から日本の子どもの状況を見て、いじめや不登校、貧困問題が子どもに大きな影響を与えていると指摘しています。特に、シングル家庭の置かれた状況が子どもに及ぼす影響について指摘し、保育園が重要な役割を果たしていると、指摘しています。今後、保育の民営化や保育・教育への成果主義の導入、保育・教育労働者の労働条件の低さなどを、国連に報告するとりくみが民間レベルで進められています。
 こうしたとりくみを中心的に進めてきた世取山さんは、今回の改定保育指針について、権利主体としての子どもの姿がどこにもない、と指摘しました。保育指針をあざ笑うような実践を展開し、地域で顔をつきあわせながら広げていこうと呼びかけました。

 安積さんは、聾学校や高校など教育現場での経験をもとに、子どもの姿もまじえながら、子どもの教育に携わる者として自分を問い直してほしい、と語っていました。子どものため、といいながら、自分の不安や恐れをなくしたくて何か言ったりやらせようとしたりしていることはないでしょうか。子どもも親も、意のままにはなりません。意のままにならない他者と現場で苦闘しつづけていくこと、その中から教育とは何かということを見つけ出していくことが求められているのではないか、と語りました。

 お二人のお話しや現場からの報告を受けて、大宮さんは、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」に子どもをあわせるのではなく、子どもが新しい環境・場所に行ってもやっていける、という希望を持てるようにしていくことが接続のあるべき姿ではないか、学校教育をすぐには変えられないけれど、一人ひとりの子どもの思いや願いを伝えながら小学校と手をつなぐことから、やってみようと話されました。