お知らせ・新着情報
3月29日、衆議院議員会館内で保育士の処遇改善を求める緊急集会が開催されました。福祉保育労・自治労連・全保連を中心とする実行委員会が呼びかけたものです。当日は、緊急の呼びかけに答えて、神奈川や埼玉・群馬など近県からも保育者が駆けつけ、新聞・テレビ等の報道関係者、国会議員もあわせ約150名が参加しました。
保育士の労働実態の背景には国の姿勢が
集会では、保育士の労働実態と処遇改善の課題について報告されました。まず、保育士の低賃金・低処遇の原因が、国の姿勢にあることが指摘されました。保育士の賃金として国が見積もっている金額自体が低く、昇給財源も平均勤続年数11年までしか見積もられていません。また配置基準のままでは保育ができないため、基準以上に保育士を増やして配置しているのが現実です。さらに国は、保育士の配置要件の緩和にまで踏み出し、保育士の専門性を無視した政策をとろうとしています。こうした国の姿勢が保育士不足を招いていることを指摘した上で、改善のためには、国が必要な費用を用意すること、人件費として用意された公費が人件費として確実に使われるルールを確立すること、配置基準等の制度を改善すること等が課題であることが示されました。
参考:見解「保育士の処遇改善は保育問題解決のための最優先課題 ― 保育士確保と待機児童解消の実現のために」全国保育団体連絡会
保育者、保護者、園長からの訴え
訴えとして、民間・公立の保育士、保護者、園長から発言がありました。公立の現場では、東京でも47%が非正規、民間保育所の男性保育士は「あと数日後の4月からの職員も足りない!」と切実な実態を訴えました。保護者からは、入園できればどこでもいいわけではないということが話されました。現在、子どもを預けている園では、正規職員の給与を削ってパート保育士を雇用し、会議時間や朝夕など職員が足りない時間帯等を補っているので、保護者としては安心できるといいます。「待機児童解消=規制緩和という流れは断ち切ってほしい、国の方針を大きく転換してほしい」「一緒に子どもを育てながら働いていく仲間として、保育士の処遇改善にむけても一緒に声をあげていきたい」と訴えました。
民間保育園の経営者の立場から、経営懇会員園でもある愛知・けやきの木保育園園長の平松さんが発言しました。「保育士たちは保育の仕事に誇りをもって精一杯頑張っているが限界」「厳しい労働条件では子どもたちの気持ちに寄り添う保育を続けていくことが難しくなっていく」「子どもも保護者も職員も大事にされるように、すべての保育現場で職員の労働条件の改善を」と訴えました。
保育士不足解消のためにも処遇改善が不可欠、地域からの発信を!
保育士の処遇改善については、国会でもとりあげられました。野党4党が共同で処遇改善の法案を提出したほか、政府も今後発表する「ニッポン一億総活躍プラン」に処遇改善を盛り込む方針であるとされています。しかし、実際に処遇改善が私たちの望む内容で実現するかは不明であり、引き続き、現場から声をあげていくことが必要です。
このような動きに対し、保育三団体の反応はあまり前面に出てきていません。園長会等での反応や意見はいかがでしょうか。保育が社会的な問題として注目されている今、園長会や地域の保育団体からの発信も重要です。自治体での対応と、あわせて国に意見をあげるよう要請する、といったとりくみを検討していく必要があるのではないでしょうか。
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