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2018.04.11
処遇改善等加算Ⅱ~ 加算対象を広げるなど、運用見直しで事務連絡(3月7日)

2018年3月7日付で、処遇改善加算Ⅱの運用見直しについて事務連絡がだされました。2018(平成30)年度から運用の見直しがされます。通知は追って出されるとのことです。
*事務連絡はこちら>>>処遇改善等加算2の運用の見直しについて 事務連絡20180307

加算額の配分の見直し

◆見直し内容①
これまで、「副主任保育士または専門リーダー」への加算は、園の対象職員のおおむね1/3程度の人数で、一人当たり4万円とされていました。その人数のうち、半数には必ず4万円を支給し、残りは配分することもできるとされていました。その配分対象として「職務分野別リーダー」も認められることとなります。

◆見直し内容②
 また、これまで対象職員のおおむね1/5に限定してきた「職務分野別リーダー」の人数と加算額を限定せず、上乗せすることもできるとしました。

◆見直し内容③
 さらに、加算総額の20%を上限に、同じ法人内での施設間配分を容認する、とされました。ただし、2022年度までの時限措置です。

◆「配分見直し」は現場の実情に応えられるか?
 ①・②の見直しをふまえると、4万円対象者のうち、満額支給者以外の対象者は職務分野別リーダーとして発令しなおすことが可能となります。加算額も、5千円以上にできますが、「副主任保育士」等の賃金改善額のうち、最も低い額を超えない範囲内とされています。
 この見直しにより、「副主任保育士・専門リーダー」とされる経験年数7年目程度以上の中堅・ベテラン職員が少ない園の場合、「職務分野別リーダー」とされるような経験年数の職員層への配分が可能になったといえるかもしれません。各現場の実態にあてはめながら、検討する必要があります。

研修必須化は2022年度を予定

 加算要件である研修受講については、2022年度から必須化をめざす、とされました。都道府県には2022年度からの必須化を目指して研修実施計画を作成すること、各施設では職員の研修受講をすすめること、が示されました。
 研修については、すでに今年度から実施している県もあれば、2018年度実施に向けて指定研修の募集を始めたばかりの東京都や、独自のキャリアパス制度を設けて動いている京都府、面積の広さからDVDでの研修を検討している北海道、といった例もあり、都道府県によって取り組み状況や内容に大きな差が出ています。
 各園の状況から考えれば、加算対象者を研修に送りだすためには人員増が不可欠です。都道府県として研修実施計画を立てるにあたっては、そうした現場の状況に対し、どのように支援するのかもあわせて検討を求めたいところです。

 一方で、そもそも研修は、各施設や職員が自主的・主体的に考えとりくむものでもあります。加算のための研修に追われ、自主的・共同的な研修の場が縮小したり、必要な研修を工夫する営みが困難になるのであれば、保育の質の向上や保育実践の多様性が失われていくことにもなりかねません。処遇改善加算Ⅱへの現実的な対応と同時に、研修の意味やあり方についての視点を持っておくことが必要ではないでしょうか。

処遇改善等加算Ⅱ~今後の課題は?

 加算Ⅱが始まって1年もたたないうちに、配分方法の見直しがだされました。もともと、スタート時点から、各自治体・関係者に充分に周知徹底されたとはいえず、自治体担当者も理解が伴わず現場でも混乱し、申請をしなかった施設もあります。保育士不足が深刻な状況の中で処遇改善は必要ですが、性急な進め方が現場の混乱を招き、結果的に短期間のうちに見直すことになりました。見直しは歓迎すべき面もありますが、一方で振り回されている感もあります。

 保育士不足の現実を打ち破るには、保育士・職員の給与の抜本的な底上げが不可決です。加算Ⅱはあくまでキャリアパスのための加算です。加算Ⅱへの現実的な対応は続けつつ、公定価格の大幅な改善で処遇を底上げし、働き続けられる条件を確保することが急務といえます。